Ibanez ICHI10 3年使用レビュー|Strandbergとの比較とQシリーズの選び方

エレキギター

IbanezのヘッドレスギターICHI10を3年ほど使っているので、レビューを書きます。

Q52やQ54など、Qシリーズで悩んでいる人にも参考になればと思います。ICHI10はIchika Nitoさんのシグネチャーモデルですが、ボディ形状やブリッジ、スケールといった基本の作りは普通のQシリーズと同じです。違うのは主にピックアップの配列とネックなので、Qシリーズ全般の使い勝手の話として読んでもらえると思います。

Strandbergの8弦を使っていたこともあるので、Strandbergとの比較も書いています。

先に結論

  • 持ち運び用の「雑に使える1本」としては大満足。軽くて小さいのは正義
  • 弦交換とチューニングは、普通のギターよりむしろ楽
  • ただしヘッドレスの構造上、重い歪みでタイトなローを出すのは苦手
  • 普通のギタースタンドや壁掛けが使えないのは地味に困る

ICHI10とは

ICHI10は、2021年に登場したIchika Nitoさんのシグネチャーモデルです。IbanezのヘッドレスシリーズであるQシリーズの、Q54をベースに作られています。

ギター・マガジンのインタビューでIchikaさんは、ピックアップについて「ソロで使うことをイメージして音を追い込んでいった」と話しています。ローが膨らみすぎず、高音の伸びがいい、ハイファイな音を狙ったモデルです。

(出典:ギター・マガジンWEB「Ichika Nitoがアイバニーズとともに生み出した、シグネチャー・モデルのこだわり」)

ICHI10のスペック

項目仕様
ボディオクメ
ネックWizard C 3ピース ローステッドメイプル/ブビンガ
ネック厚1F:21mm / 12F:22mm
指板ローステッド・バーズアイメイプル
フレット24フレット(ジャンボ・ステンレス)
スケール648mm(25.5インチ)
ピックアップR1 ×3(S-S-S)
コントロール5ウェイスイッチ、ボリューム、トーン、アルタースイッチ(dyna-MIX8)
ブリッジMono-Tune
出荷時の弦D’Addario EXL110(10-46)
付属品ギグバッグ
価格192,500円(税込)

※Ibanez公式サイトより(価格は2026年10月時点)

Qシリーズの選び方:Q52・Q54・ICHI10の違い

Qシリーズで迷っているなら、まず見るのはピックアップの配列とネックの厚さの2つです。

ピックアップの配列で選ぶ

  • Q52:ハム・ハム(HH)。歪ませるならこれ
  • Q54:シングル・シングル・ハム(SSH)。いちばん万能
  • ICHI10:シングル3つ(SSS)。クリーンやカッティング向き

ネックの厚さで選ぶ

Q52やQ54など主要モデルは「パラレル・ウィザード」というネックで、厚さが全体で19mmに揃えられた薄いネックです。

一方ICHI10は「Wizard C」というネックで、1Fで21mm、12Fで22mmあります。実際に握ってもIbanezのいわゆる極薄ネックとは違って、厚めでしっかりした感じ。普通のギターに近い握り心地です。

薄いネックが好きならQ52やQ54、普通のギターと持ち替えて違和感がないほうがいいならICHI10、という選び方ができます。

その他のモデル

  • X付きのモデル(QX52など):フレットが8度斜めに打たれたスラントフレット
  • 7弦モデル(Q547、QX527PBなど)もあります

(参考:エレキギター博士「Ibanezヘッドレスギター『Q Series』の特徴」)

なぜヘッドレスギターにしたのか

一番の理由は、持ち運び用のギターが1本欲しかったからです。

普段使っているのは SuhrのModern や T’s GuitarsのArc。いいギターなのですが、その分雑に扱いにくい。なのでキズとか気にせず使えるギターが何か欲しかった。

ギターの選択肢は無数にありますが、選ぶのはヘッドレスギターの中からと決めていました。理由はなんといっても持ち運びのしやすさ。軽い、小さいは強いです。

僕の移動は電車かバイク。なおさらヘッドレスギターの利便性が高いと思いました。普段車で移動する人だったら、ヘッドレスギターの恩恵は減るかもね。

Strandberg、Mayonesと迷った

候補は Strandberg、Ibanez Q、Mayones の3つ。他にも色々ありますが、この中から選ぶのが安牌だと思いました。

最初はMayonesがいいなーと思ったのですが、値段が高いので大事に扱わないとってなっちゃいそうなのと、結局それなりに重いので軽さの利点がなさそうだなと思って除外しました。

となるとStrandbergとIbanezのQになります。

YouTubeで海外の人が比べている動画を漁ってみたのですが、どっちも大差ないよう。どっちもインドネシア製だしね。クオリティが同じぐらいなら、Strandbergの方が割高感はあります。まあでもStrandbergかっこいいし。

ともあれ、色々楽器屋で試奏しました。どっちも思った通りで、音は違えど差はそんなに感じないかなという感想でした。どっちのギターも都内には結構置いてあったので、試奏しやすいのはよかったですね。ただ、Strandbergは目当ての仕様のギターが見つけられなかったので、そこはちょっと残念。

もともとStrandbergの8弦を持っていたこともあるので、IbanezのQの方に行きたいという思いも強かったかもしれません。

Ibanez QとStrandbergの比較

僕が昔持っていたのは、日本製のJシリーズの8弦です。8弦とは思えない軽さでした。

Ibanez Q(ICHI10)Strandberg Boden
ネックの形普通の丸いネック台形の「EndurNeck」
フレットストレート(X付きモデルはスラント)多くのモデルがマルチスケール
重さの目安2kg前後6弦で約2.3kg(Essential 6は約2.15kg)
弦普通の弦が使える普通の弦が使える
製造インドネシア現行のBodenはインドネシア(Jシリーズは日本製・生産終了)

(Strandbergの数値はエレキギター博士「.strandberg*ギターの特徴と魅力」より)

一番違うのはネックです。Strandbergは台形のネックなので、そもそも形が違いすぎる。台形ネックも意外と弾きやすかったので甲乙つけがたいのですが、コード弾きに関しては間違いなくICHI10の方がしやすいです。

構えたときのバランスも違いました。Strandbergの時は8弦だったのもあってヘッド落ちしやすかったのですが、ICHI10はそれに比べるといいです。

→ 関連:Strandbergの種類と選び方

なぜ普通のQシリーズではなくICHI10にしたのか

リアがシングルのギターが欲しかった

一番の理由は3シングルだったことです。あいにくその頃持っていたギターは全部リアがハムバッカーのものでした。なのでリアがシングルのギターが1本欲しかった。

ヘッドレスに重いローは期待していない

もうひとつは、ヘッドレスギターにそこまで音を期待できないと思っていたからです。

ボディが小さく質量が減るので、どうしても音痩せしちゃう。これは8弦のStrandberg(値段お高めのJシリーズ)を使っていても感じたことです。なので個人的には、タイトでローが出てほしいバッキングの使い方をしようとすると、どうしても物足りなさを感じてしまいます。

公式から出ているデモ演奏とかを見ても同じ感想なので、ヘッドレスという構造上仕方ないんだと思います。

なら最初からヘビーな歪みはある程度捨てて、クリーン側に振った方がいいんじゃないかと僕は思うわけです。まさにIchika Nitoさんなんかは、プレイスタイルとギターの特性がマッチしていい使い方をしていると思います。

3年使ってみて

軽い、コンパクトで、想定した使い方ができて大変満足です。ギターなんて何本あってもいいという人は、1本持っておいて損はないです。

見た目は小さいけど、スケールは普通のギターと同じ

見た目はコンパクト。実際人に見せても「ミニギターなの?」って言われるぐらい。

でもスケールは普通のギターと一緒です。なんならレギュラースケール(648mm)なので、ギブソンとかよりも長い。

ネックは普通のギターと持ち替えても違和感なし

ネックの握り心地は、普段使っているSuhrやT’sと比べても違和感はないです。上に書いたとおり、Ibanezの極薄ネックではなく、厚めでしっかりした感じ。

ただ、価格帯なりにSuhrなどと比べると質感は劣ります。そこは値段相応。

座っても立っても構えやすい

座って弾く時も、比較的バランスよく弾きやすいです。軽い分、どうしても多少不安定にはなりますが、ヘッド落ちしやすかった8弦のStrandbergと比べるといいです。

小さいからぶつけない

雑に扱うつもりだったのですが、コンパクトなのでギターをぶつけるということがなかなかないです。おかげで3年ぐらい使っていますが、今のところ目立ったキズはなしです。

持ち運びはリュック感覚

バイクの時は背負っています。電車でもそんなに邪魔になりません。大げさに言うと、ギターを背負っているというより、リュックを背負っている感じに近いかも。

弦交換がめちゃくちゃ楽

初めて弦交換するまでは大変なのかなーと思っていたのですが、いざやってみるとめっちゃ楽です。なんなら普通のトレモロがついていないギターより楽かもしれません。

弦は普通の弦がそのまま使えます。張るときに余った弦は切ります。

出荷時はダダリオの10-46ですが、僕はエリクサーの10-46を張っています。錆びないのが快適すぎて、もうエリクサー以外使えない。

弦を張ってからのチューニングもすぐできるし、チューニングの安定性も問題なし。ダウンチューニングもやりやすいです。

→ 関連:弦のゲージの選び方。09-42、09-46、10-46どれにする?

チューニングは「左手で弾いて、右手で回す」

普段のチューニングも楽です。ただ、ヘッドレスギターなのでコツを掴まないとやりにくいかもしれません。

普通のギターは右手で弦を弾いて左手でペグを回しますが、ヘッドレスはペグがボディ側にあるので逆。僕は左手で弦を弾いて、右手でチューニングしています。これでやるとサクサクできます。

音:ピックアップはMojotoneに交換済み

僕のICHI10は中古で買ったのですが、前のオーナーがピックアップをMojotoneに交換していました。

純正の音は試奏や動画で聴いた印象ですが、尖った金属質な音です。これはこれでいい音だと思いますが、歪ませて使うと微妙な音になるので、僕は今のピックアップの方が好きです。

Mojotoneにしたことで柔らかく、伝統的なスタンダードなエレキギターの音に近づいています。汎用性が高くなったので、色々なジャンルで使いやすいです。

Qシリーズのピックアップは、ギター本体の特性に合うように選ばれていると思うのですが、歪ませたりするんだったら、個人的にはピックアップを変えた方が幸せになれる気がします。とはいえ純正もいいピックアップなので、交換するなら、また戻したくなった時のために純正はとっておいた方がいいと思います。

アルタースイッチは「太い音・細い音」の切り替えに

ICHI10にはアルタースイッチ(dyna-MIX8)が付いています。効果的な使い方ができているかは自分でもわかりませんが、太い音にしたい時と細い音にしたい時で切り替えて使っています。

ちゃんと軽い

ちゃんと軽いです。この軽さでこの音と考えると、めちゃめちゃいいです。

うろ覚えですが、量ったら2kgを切っていたと思います。個体差はあると思いますが、普通のギターが3kg台なのを考えるとかなり軽いです。

片手で簡単に持てるし、なんなら軽く投げられそうなぐらい。ギターを逆さに持って剣みたいに振るなんてこともできます。(非推奨)

→ 関連:軽いギターのおすすめ8種

付属のギグバッグはやや大きめ

持ち運びしやすいのですが、付属のギグバッグは若干大きめに作られているのかなと思います。とはいえコンパクトですけどね。他のヘッドレスギターにも使えるぐらい汎用性はありそうです。付属品としては申し分ないクオリティだと思います。

気になったところ

満足はしていますが、気になる点もまとめておきます。

  • 普通のギタースタンドや壁掛けが使えない:ヘッドがないので、ネックを引っかけるタイプのスタンドやハンガーには掛けられない
  • 重い歪みだとローが物足りない:ヘッドレスという構造上、タイトなローが欲しいバッキングには向かない
  • 純正ピックアップは尖った金属質な音:クリーンやソロには合うけど、歪ませるなら交換も視野に
  • 質感は価格なり:SuhrやT’sと比べると、さすがに質感は劣る
  • チューニングにはちょっと慣れが要る:左右の手の役割が普通のギターと逆になる
  • セレクターのつまみがたまに取れる:しょうもない点ですが、セレクターのプラスチック部分がたまに外れます

スタンド問題、僕はこうしています

普通のギターのようにスタンドに立てたり、壁に掛けたりはできません。

なので変な置き方ですが、僕はマルチエフェクターとパソコンの間の隙間に差し込んでいます。他にも、机と壁の隙間に置いたり、机の上に置いたり。危ないのでおすすめしませんが、譜面台の上に置いたりもしています。

普通のギターではできない置き方で、軽くて小さいからできる芸当です。

よくある質問

Q. ICHI10の重さは?

個体差はありますが、僕のものは2kgを切っていました。普通のギターの3kg台と比べるとかなり軽いです。

Q. 普通の弦は使える?

使えます。張るときに余った弦は切ります。僕はエリクサーの10-46を使っています。

Q. 普通のギタースタンドは使える?

ネックを引っかけるタイプのスタンドや壁掛けは使えません。置き場所は工夫が要ります。

Q. 壊れやすい?

3年使っていますが、壊れたり不具合が出たりしたことは一切ありません。気になるのは、セレクターのつまみがたまに外れることくらいです。

Q. 座って弾きやすい?

比較的バランスよく弾けます。軽い分少し不安定になることはありますが、ヘッド落ちはしにくいです。

Q. 中古で買うときの注意点は?

写真などで状態をよく確認することです。この価格帯のギターは作りの差が個体ごとに出やすいと思うので、変なところがないかチェックしました。

こんな人におすすめ

おすすめな人

  • 電車やバイクなど、車以外でギターを持ち運ぶ人
  • 2本目・3本目として、気兼ねなく使える1本が欲しい人
  • クリーンやクランチ中心で弾く人
  • 薄すぎないネックが好きな人

向かない人

  • メタルなど、重い歪みでタイトなローが欲しい人
  • 移動が車メインの人(ヘッドレスの恩恵が減る)
  • スタンドや壁掛けにきれいに飾りたい人

まとめ

持ち運び用の1本として、ICHI10は3年使っても満足しています。軽くて小さく、弦交換もチューニングも楽。ヘッドレスの音の弱点を理解した上で、クリーン寄りの使い方をするなら、いい相棒になってくれるギターです。

Qシリーズで迷っている人は、まずピックアップの配列(HH / SSH / SSS)と、ネックの厚さで選ぶのがいいと思います。

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